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食品の放射能検査について
2011年12月 9日 08:42
 
塩原温泉、今朝はくもり。
まだ雪にはなっていません。
降るのかなあ、降らないのかなあ・・・ちょっと微妙な空。
予報ではしばらくぐずついた天気が続くようですが、
明日だけ晴れマークも。
皆既月食、少し希望が持ててきました!

さて、今日は少し固い話をさせていただきます。
福島第一原発事故とその後の放射能問題
そして当館の取り組みについて


3月の福島第一原発事故を受けて、
福島県は元より、関東一円と南東北が
(あるいはもっと広い範囲が)
放射能に汚染されてしまいました。

最初の頃、まだ誰も線量計なんて持っていなかった頃、
私はとにかく、この地域の実態を調べなくてはと、
ちょうど、那須町で行われた
住民による放射能対策の勉強会に参加
そのままその住民プロジェクト「那須希望の砦」の会員になりました。

以前より電気に頼らない生活を提唱していた
日本大学の藤村靖之先生の指導のもと、
皆でお金を出し合い線量計を購入
那須町と那須塩原市で地域ごとのグループに分かれて、
あらゆる場所の空間放射線量を測ったり、
除染実験をしたり、内々で食材や土壌などの計測を
してきました。

幸い、塩原温泉は事故時の気象条件と
山の裏側という地理的条件によって、
空間放射線量はこの地域でも低く、ほぼ東京並みにとどまりました。
しかし、この地域一帯の汚染は調べれば調べるほどに深刻で、
学校の校庭の除染から始まり、
このほど、国の重点対策地域にもなりました。

旅館で使う食材については
鉛のボックスに入れて遮蔽されたものを、
シンチレーション式サーベイメータで調べるという、
簡易的で、内々の測定ではありますが、
とにかく調べられるものは全て調べてきました

ただ機械の性能問題で、元々食品が持つカリウム40も読みとり、
肝心のセシウム134、137のみの数値はつかめないものでした。

このほど、那須希望の砦では、
新しく導入したスペクトルメーターの測定により、
核種別の検査が可能になりました。
ヨウ素、セシウム、カリウムなどがそれぞれ計測ができます。

いわゆる検査機関での測定と同レベルの測定。
1検体2000円という格安料金ですので、
今までの内々の検査のように無料とまではいかないものの、
気軽に詳細なデータが得られるようになりました。

先日さっそく、12月の献立に使う野菜を5品目検査してきました。
カリフラワー、ブロッコリー、キクイモ、ヤーコン、里芋です。

いずれも1800秒の測定で検出限界(5〜10ベクレル)以下との判断。
いわゆる「検出せず」の証明書もいただいてきました。

それ以前からも、色々な食材を検査してきましたが、
今後も時間のある限り、宿の食材を検査していきたいと思います。

先般の牛肉の出荷停止解除の際もそうでしたが、
ほとんどのお客様が、
「売られている野菜なのだから大丈夫、気にしませんよ」
とおっっしゃってくれます。
実際に宿で使う食材をいちいち検査している宿はあまりないと思います。

しかしながら、
那須希望の砦に参加している私としては、
やはりそれではいけないと考えます。

チェルノブイリ事故の後、
ベラルーシやウクライナで何が起こったのか、
チェルノブイリの子供たちがどういうことになったのか、
一生懸命に勉強しています。
放射能についての講演会に参加し、本も沢山読んでいます。

大地が汚染され、空間に放射性物質が飛んでいる状況の中、
少しでも内部被曝は避けなければなりません
それは旅館のお客様に対してもです。

いくら「ただちに健康に影響はない」とか、
「基準値500ベクレルは絶対安全です」と言われても、
私にはその言葉を信じるだけの確証が持てません。

観光地の旅館で放射能のことについて触れるのは
もしかしたらタブーに近いことかもしれませんが、
私は私なりに、この地域の農産物を守りたいですし、
今まで彩つむぎで進めてきた「地産地消」も守りたい。

そして、お客様に安全な食材をご提供できるように
努力していきたいと思います。

以下は測定の様子のリポートです。


検体

食材を極力小さくプロセッサーなどで細かくします。

スペクトルメーター

ベラルーシのATOMTEX社製の測定器。

パソコンで数値を読み取る

パソコンにつながれており、数値を読み取ります。

数値結果

こちらが測定結果です。